ティエリー・ピュズラ氏の来日にともない、(有)ヴァンクールと(株)ラシーヌの正規インポーター2社による合同試飲会が昨日都内で催されましたが、今回は氏の発言内容を中心とした参加報告です。
彼のワインは大きく2種類あります。彼自身と彼の兄ジョン・マリーの営む自社ワイナリーのワインとロワールのさまざまなブドウ栽培者から買い付けたブドウでティエリーが醸造を担当するワインの2種類。そうしたワインは一般的には、土着品種を使用しており、また土壌成分の違い、つまりテロワールの違いをワインに反映するような醸造方法を行なっているので、実にヴァラエティに富んだ品揃えとなっているというのが飲んでみた印象です。
ちなみに、試飲した中で僕が一番気に入ったのは、ガメイ種とコー種が半分ずつはいった「ヴァンクール・ロゼ2006」でした。口直しやのどが渇いたときなどに、ちょくちょく注いでは飲み、気づいたら5、6杯飲んでいました。グビグビ飲めます。これうまい。
以下に、ピュズラ氏が話していた内容を箇条書きで記します。
輸送の関係で、同じワインをフランスで飲んだときと日本で飲んだときとで何か違いがあるのかどうか尋ねてみると
「日本は世界で唯一、フランスで飲むのと同じようにワインを楽しむことができる国である。」とのこと。「それほどまでに、他の国と比べて、輸送から保存までしっかりと管理されている。」そう語っていた。
彼の好きなワインはブルゴーニュのピノ・ノワールだそうだ。
「もしも、莫大な資産があれば、ブルゴーニュの畑を買ってそこでワインをつくってみたい。でも、やっぱり、自分が生まれたロワールの土地でつくるのが一番。気候も緑も、森もすごく気に入っているからね。」
醸造に関して:
「ワインを飲むことは一年中いつでもできるけど、ワインをつくることは一年で一回しかできない。だから、学んだ新しいこと試すのは、一年に一度しか試す機会がないんだ。」
ワインのみための良し悪しについてのコメント:
「ワインの"みため"を重視する人もいる。たとえそのワインがおいしくなかろうと、あるいは亜硫酸等が多く含まれていようと"みため"がいいワインをよしとする人もいる。しかし、僕はワインの"みため"はどうでもよくて、そのワインが自分にとっておいしいかおいしくないかということ一番大事なことだと思う。」
試飲会の最後にピュズラ氏から短いレクチャーがあったのだが、最後に彼はこのような言葉で話を締めていた。
「自分が思うような最高のワインをつくるのには、2、3回の人生が必要になると思うけど、とりあえずのところ、僕はこの一回の人生の中で最高のワインをつくろうとがんばっています。」
ヴァンクールの公式サイトにおいてもピュズラ氏の発現に関する資料(http://www.vinscoeur.co.jp/prox/thierry12-2007.3.30.pdf)があり、これまではなるほど粋なことをいう人だなぁというぐらいの認識でしたが、今回実際に会ってみて感じたことは、"彼のワインがその全てを物語っている"という、月並みな表現だけど、本当にそう感じました。