kanitonekoの科学的小ネタ
2010-03-23T18:27:28+09:00
kanitoneko
主にブドウに関する小ネタ
Excite Blog
半年ぶりの更新ですが
http://kanitoneko.exblog.jp/10258073/
2010-03-23T18:27:33+09:00
2010-03-23T18:27:28+09:00
2010-03-23T18:27:28+09:00
kanitoneko
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独り言:
というわけで、更新が停滞しております。]]>
ブドウ畑にバラがある理由 (特別編)
http://kanitoneko.exblog.jp/9012922/
2009-09-25T11:25:16+09:00
2009-09-25T11:25:13+09:00
2009-09-25T11:25:13+09:00
kanitoneko
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1ヵ月以上も前になるのだが、8月19日にテレビ朝日で放送された「クイズ 雑学王2時間SP」の話。爆笑問題が司会のクイズバラエティ番組で、出題された問題に「ブドウ畑の周りでバラを栽培する元々の目的は?」というのがあったのですが、今回はその撮影裏話です。
撮影は、7月28日で、番組出演依頼が来たのは、その1週間ぐらい前のこと。撮影場所は、主にメルシャンの城の平で、棚栽培で生食用ブドウがぶら下がっているのが見えるところは、原茂ワイナリーの所有するブドウ畑となっています。
で、「ブドウ畑の周りでバラを栽培する元々の目的は?」に対しての正解は、「バラはブドウと同じ病害にかかりやすく、しかもブドウよりも早く病害にかかりやすいという特徴があります。つまり、バラが病害にかかっていないかチェックすることで、ブドウの病害をいち早く察知し予防できるのです。」というものでした。
問題文に、「元々の目的」とあるので、この正解で良しとします。というか、実は正解のセリフは番組側が用意していたものであり、鈴木准教授は、全国放送であることにやや緊張気味に、淡々とカンペを読んでいただけでありました。下の図は、その時の撮影の様子。 それから、数秒しか映っていない薬剤散布のシーンでは、ブドウ栽培者ではなく、鈴木准教授のもとにいる学生が散布しています。この時、散布しているのは農薬ではなく、水だそうだ(下図)。正解と散布のシーンを撮り終えると、撮影クルーはその後、4時間もバラとブドウ畑のショットをいろいろなアングルから撮り続けていた。撮影する方も出演する方も、こういった番組の1問は1日がかりなんだなぁ、ということを知りました。
ちなみに、鈴木准教授の「ブドウ畑にバラがある理由」に対する解答はこうだ:
「効果が全く無いわけではないだろう。(病原菌は異なるものの)ある病気がバラに出るということは、同じような病気がブドウにも発生しうる環境(温度や湿度など)になっているということだから。」
ふ~む、なるほど。
独り言:
放送日当日だけでも、「ブドウ バラ」の検索ワードで193人も来た!]]>
Opus One (オーパス・ワン)
http://kanitoneko.exblog.jp/8559949/
2009-07-04T17:14:00+09:00
2009-07-04T20:56:51+09:00
2009-07-04T17:14:28+09:00
kanitoneko
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下の動画は、Opus Oneを訪問したときのものです。解説を字幕でつけるのがおっくうだったので、説明なしです。見る人がみれば、「へぇ~」って感じなものもあると思います。ちょっと行った気にもなるかもしれません。
↑Pinot noir (Saintsbury) ↑Frog's leap
■kanitonekoの感想:
大規模な近代的製法のなんたるかを見せつけられた。殊に、自分はフランスのブルゴーニュ地方と日本の山梨県のワイナリーしか知らなかったのでなおさらである。また、科学的に裏付けされた手法を積極的に取り入れている態度などには感心。さらに、気象、台木の選抜、系統の選抜、灌水などだけでなく、季節労働者の保護や環境問題(水資源やエネルギー)などさまざまな問題を認識し、それらの課題への取組みも行っていることにも驚きだった。
これまで、「ワインはやっぱりフランスでしょ!」とか「ピノ・ノワールといえば、ブルゴーニュ!」という偏見がまだ自分の頭の片隅にわずかに残っていたことを白状するのだが、今回のワイナリーツアーでそれらはどこかに吹き飛んでしまった。まぁ、だからといって、アメリカワイン万歳!とまではいかないけれども、自分の中のワインに対する見解に、久しぶりに大きな影響を与えてくれたツアーであった。
個人的には、Saintsbury winery のピノ・ノワールに太鼓判!あのクオリティのワインを大量生産されたら、小規模農家は太刀打ちできないんじゃないか、と懸念したものの、やはり、そこは「うまい」もの勝ちでしょ。
それはさておき、学会で多くの研究者の発表を聴講した。中には、興味深いものもあって、これまで見向きもしてこなかった研究テーマを再認識させられた。時間をみて、個人的に勉強していこうと思うのと同時に、このブログのネタへと還元していくつもりである。しかしながら、今のところ多忙につき、その勉強はおろか次回の更新も、ずーっと先になりそうです。
訪れたワイナリーHP:
①Saintsbury
②Clos du Val
③Frog's leap
④Opus One
独り言:
上の動画に著作権・肖像権等の問題があったらすぐに削除いたす次第でございます。]]>
ボルドー液 その7
http://kanitoneko.exblog.jp/8250173/
2009-05-06T15:06:45+09:00
2009-05-06T15:06:45+09:00
2009-05-06T15:06:45+09:00
kanitoneko
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省略語:
・牛ふんコンポスト→(牛)
・豚ふんコンポスト→(豚)
コンポストは農作物の生産増進や地力維持を目的として、畑に施肥されるが、家畜ふんコンポストの連用により、家畜飼料添加物に由来する重金属が畑に蓄積することが近年明らかになってきた。
実際に、イギリスでは豚の整腸機能の向上を目的とし酸化亜鉛を飼料に配合したり、免疫力の向上を目的として、硫酸銅を飼料に配合したりしている。
多くの微量元素は家畜に吸収されるが、吸収されなかった重金属元素が家畜ふんコンポストには存在し、亜鉛(Zn)や銅(Cu)は、家畜飼料含有量の5倍~12倍にもなるという事例もある。
このような重金属元素を含むコンポストの連用は、土壌汚染だけでなく農作物や食物連鎖にも影響を与えると懸念される。
そこで、筆者らは3種類の畑土壌(褐色低地土、黒ボク土、褐色森林土)に化学肥料および家畜ふんコンポスト((牛)および(豚))を5年間連用した試験区を設け、各畑土壌およびそこで栽培したコマツナ(植物体)の重金属含量について調査した。
■方法
①(牛)と(豚)は年間、33Mg/ha施用した。化学肥料は硫酸アンモニウム(N=0.36Mg/ha)、硫酸カリ(K2O=0.44Mg/ha)、過燐酸石灰(P2O5=0.36Mg/ha)を施用した。その間、バレイショ、ブロッコリー、カブ、ニンジンなどを1年に2作ずつ栽培し、これを5年間行った。
②5年後に、それぞれの区画でコマツナ300株を1か月栽培し、そのうち30株を収穫し、地上部と地下部に分離し、植物体に含まれるCuとZn含有量を測定した。
■結果
表1に、施用した(牛)と(豚)に含まれるCuおよびZn含有量を示した。
(豚)のCu含有量は極めて高い値を示した。(牛)には(豚)に比べ可溶性のZn含有量が高かった。また、化学肥料中の重金属含有量は極めて少なく、実験結果に影響を与えないことはあらかじめ確認済みである。
イギリスでは(豚)におよそ500mg/kgのZnおよび360mg/kgのCuが含まれていると報告されているが本実験で用いた(豚)にはそれらよりも多くのZnとCuが含まれていた。
図1には、コマツナの地上部と地下部でのZnおよびCu含有量を示した。Znについては、黒ボク土および褐色森林土において(豚)施用区のZn含有量が他の区に比べて、高かった。褐色森林土では地下部においてもZn含有量が高かった。褐色森林土および黒ボク土には可溶性Zn含有量が褐色低地土に比べて高いことから、作物への移行に影響していると考えられる。
Znの含有量と比べるとCuの含有量は全体的に低く、大きな差はなかった。しかしながら、コマツナの地下部は地上部に比べると小さいことを考慮すると、CuもZnも吸収された大部分は地上部に移行していることがうかがえる。
(豚)にはCu含有量が多かったのだが、コマツナにはそれほどCuが含まれていなかったことに対して、筆者らは次のように述べている。土壌の重金属保持力は一般的にCu > Znであるので、CuよりもZnの方が作物への移行性が高いものと思われる。また、表1から、CuよりもZnの方が可溶性のものが多かったことから、Znはコンポストおよび土壌蓄積の双方から作物へ移行する傾向があり、一方でCuは、――可溶性のものがコンポストに少ないことから――いったん土壌に蓄積したのちに作物に移行する傾向があると考察している。
■結論
(豚)は標準的な施用量であっても長期間の連用により、ZnとCuの土壌への蓄積、および、Znの作物への移行性、の2つの可能性が示唆された。
■kanitonekoの感想
土壌改良の目的で施用する家畜ふんコンポストさえも銅や亜鉛などの重金属が畑に混入してしまうルートになるということは、全く思いつきもしなかったので、驚いた。銅を畑にもたらすものは銅剤だけではなかった。
個人的に、疑問に思ったのは、本研究において、(豚)には可溶性の銅は少ないが、施用する畑の土壌酸度が低かった場合には、可溶性の銅が増加するのかどうか、という点である(参照:「ボルドー液 その6」)。
本研究では、特に(豚)に含まれる重金属が問題とされているが、(牛)に注目している研究報告もある:スペインのPenedès地区で(牛)によるブドウ畑の重金属蓄積を調査した報告によると、施用した(牛)の中には、銅が35mg/kg、亜鉛が142mg/kg、マンガンが135mg/kg含まれていたことがわかり、連用することで、ブドウ畑にもこうした重金属が蓄積していく可能性が示唆されている(2)。これらの値は、表1に示された値よりも小さいことから、本研究で施用された(牛)も連用していけば、土壌に重金属が蓄積することは避けられないだろう。
以上のことを鑑みると、施用する家畜ふんコンポストの「由来」も無視できなさそうである。
本研究の内容は、厳密にいえば、ボルドー液とは関係ないが、ブドウ畑にも家畜ふんコンポストを施用することもあり、また畑に蓄積する銅の挙動という点で参考になると思い紹介した。
さて、これまで主に蓄積銅に関して見てきたのだが、次回からは銅が植物や土壌生物にどういう影響を与えるのか、というところを見ていくことにしよう。
参考文献:
(1)萩山慎一 et al.(2005)家畜ふんコンポストを施用した各種畑土壌におけるコマツナによる亜鉛と銅の吸収.日本土壌肥料学雑誌.76:293-297
(2)Ramos M.C. (2006)Metals in vineyard soils of the Penedès area (NE Spain) after compost application. Journal of Environmental Management. 78:209-215.
独り言:
5月はこれでおしまいです。]]>
ブドウの器官×セクシー その1
http://kanitoneko.exblog.jp/8246147/
2009-05-05T12:37:10+09:00
2009-05-05T12:37:10+09:00
2009-05-05T12:37:10+09:00
kanitoneko
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独り言:
だって、先っぽが赤いんだもん!]]>
ボルドー液 その6
http://kanitoneko.exblog.jp/8243126/
2009-05-04T15:18:46+09:00
2009-05-04T15:18:46+09:00
2009-05-04T15:18:46+09:00
kanitoneko
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【この研究報告、図が8つに表1つとかなりデータが多いのだが、このブログでは筆者の主張したい部分がわかる形に無理やりまとめています。詳しいところは省略しているというところはご了承。】
銅は植物の成長に欠かせない微量要素であるが、適度な濃度で存在することが好ましい。レモンでは、銅の不足により立ち枯れ病(dieback)にかかり、逆に銅が過剰に存在すると鉄欠乏クロロシス(iron chlorosis)が引き起こされる。
中央フロリダは土壌中の銅が乏しいため、新しい土地にレモンの苗木を植える時は、立ち枯れ病をおこさないようにと銅を施用する。しかしながら、近年、長年散布してきた銅剤により、土壌中の銅濃度が高まりその毒性が苗木の成長を妨げることが問題となってきた。
土壌中の銅の形態は、水溶性、交換態、有機物や炭酸塩などと結合しているもの、キレート態、残渣、などさまざまであり、こうした形態は土壌酸度(pH)やCEC、土性、などの影響を受けることが知られている。例えば、土壌酸度(pH)が高くなると、有機物結合態の銅は減少し、かわりに沈澱銅(precipitate form of Cu)の割合が増えるなどの報告がある。
そこで、本研究では、土壌酸度の異なる3地区から土を採集し、そこに銅を添加し、土壌中の銅の存在形態の割合、およびレモンの苗木の生育状態を調査した。
■方法
①フロリダの3地区から土を採集した。採集した土は深さ0-30cmであり、それぞれの土壌酸度は以下の通り:
●Myakka pH 5.7
●Candler pH 6.5
●Oldsmar pH 8.2
②採集した土を6つに分けて、0,25,50,100,200,400 mg/kgになるように銅を添加し、47日間、野外とおなじ湿度を供給した。
③それぞれの土から30 kgとり、そこにレモンの苗木を植え、330日間生育させた。
④その後、苗木を地上部と根に分けて、乾燥重量を測定、また土壌中の銅の存在形態等を調査した。
■結果
18種類(3地区×6つ)の土において、沈澱銅の割合を図1に示した。銅を加えていない土からは、1.4-32.3mg.kgの銅が沈澱銅の形態をとっており、これは土壌の銅全体の1.6-16.1%にあたる。つまり、初期状態の土の中で沈澱の形態をとっている銅の割合は低いということである。
また、銅の添加量に伴い沈澱銅の量と割合は増加するが、中でもOldsmar(ph 8.2)が顕著に沈澱銅の割合が高くなることが示された。
土壌中の可溶性(水溶性+交換態)の形態をとった銅の量(横軸)とレモンの苗木の地上部の乾燥重量(縦軸)との関係を図2に示した。
Oldsmar(pH 8.2)においては、添加した銅の量に関わりなく、可溶性の銅の検出量が他の2地区よりも少ない。また、地上部の植物体の乾燥重量も銅の添加量に関わりなく、ほぼ一定である。一方でMyakka(pH 5.7)やCandler(pH 6.5)はともに、添加した銅量の増加にともない可溶性の銅の割合が増え、植物体の乾燥重量も減少傾向にある。
図3は、苗木の葉に存在する銅の量(横軸)とレモンの苗木の地上部の乾燥重量(縦軸)との関係を示したものである。図2同様に、Oldsmar(pH 8.2)において、葉の中の銅量は他の2地区よりも少ない。また、地上部の植物体の乾燥重量もほぼ一定の値を示している。一方で、他2地区では図2と同様に、銅が葉から多く検出されるとともに、乾燥重量も減少している。すなわち、生育が著しく阻害されていることが示された。
■結論
土壌酸度(pH)は土壌の蓄積銅の形態に影響を与える。pH が低い土壌では、pH が高い土壌に比べて、可溶性の銅の割合が増加する。土壌酸度が低い地区では、土壌中または植物体内での可溶性の銅量と生育(植物体の乾燥重量)には負の相関関係が認められることから、可溶性の銅は毒性をもつことが示される。すなわち、土壌酸度が低いと銅は植物体に毒性を示す。
■kanitoneko の感想
研究報告からは、土壌酸度がある程度低いと毒性の高い可溶性の銅が増えるということだが、土壌に銅を入れることでも土壌酸度は低くなることも留意しておくべき点である。実際に、この報告の中でも、400 mg/kg になるように銅を添加した後の土壌酸度は、MyakkaでpH 4.4、CandlerでpH 5.0、OldsmarでpH 8.0とそれぞれ低下している。つまり、たとえ本来の土壌酸度が高かったとしても、そこに銅剤を散布し続けることで、土壌酸度は低くなり、毒性を示す可溶性銅の割合も少しずつ増加していく、という可能性を意味する。
というわけで今回は、土壌酸度と蓄積銅の関係を見てきましたが、次回の内容は、「まったく思いもよらなかったルートで畑に銅が混入!?」です。お楽しみに。
参考文献:
(1)Alva A. K. et al.,(2000)Soil pH Affects Copper Fractionation and Phytotoxicity. Soil Sci. Soc. Am. J.64:955-962.
独り言:
4コマは箸休めです。
]]>
ボルドー液 その5
http://kanitoneko.exblog.jp/8141441/
2009-04-05T11:38:00+09:00
2009-04-05T11:39:27+09:00
2009-04-05T11:39:27+09:00
kanitoneko
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【1981年の研究報告なので、現行の栽培方針とは異なる部分があるかもしれませんのでご注意ください。また、このブログでは研究報告の一部分のみ紹介しています。】
山梨県におけるブドウの本格的栽培は1910年以降である。日本の温暖多湿の気候条件下では罹病率が高いため、ボルドー液散布が古くから行われてきた。散布量は、品種によって異なるが甲州種については、一般的に1 haあたり2万リットルで、この中に含まれる銅量は30kgになる。甲州種は多くの栽培品種の中で最も栽培歴が長く、今日まで70有余年栽培されている(※1981年の報告であるので、現在では100年近い栽培歴となる)。こうした背景のもと、ブドウの古い産地である山梨県勝沼地方において甲州種を栽培しているブドウ園を対象にして、土壌に蓄積する銅について調査した。
開園後の年数が異なる64園を対象に調査を行った。また、ブドウ園は、洪積土(粘質~強粘質)、沖積土(礫質~砂質)および火山灰土(粘質)の3種類にわけて、データをとった。
■結果
調査区におけるブドウ園土壌の種類は、洪積土が60%で最も多く、ついで沖積土(30%)、火山灰土(10%)となっている。一般的に、洪積土でのブドウ栽培が、品質もよく比較的安定した収穫量を得ることができる。沖積土では、一部に微量要素欠乏等による障害がみられることがある。火山灰土は果実の着色障害や新梢の秋伸び現象等がみられ、他の2つの土壌に比べて品質、収量とも不安定であり、火山灰土でのブドウ栽培面積が少ない要因となっている。
下の図は、土壌の種類と収穫量との関係を示している。一般的に甲州種は植え付けから15~25年で最も高い収量が得られるのだが、図の中では開園後経過年数と樹齢は必ずしも一致はしないものの、その傾向がみられる。また、ブドウの生育、品質および収量は、立地条件や樹齢、栽培管理条件等によることは当然であるが、土壌母材の違いによる影響が大きいように思われる、と筆者は述べている。
開園後の年数を考慮せず、土壌の種類による蓄積銅の平均値は以下の通り:
単位はppm
沖積土:作土で203、次層で63
洪積土:作土で258、次層で106
火山灰土:作土で182、次層で57
作土については、沖積土で深さ12~17cm、洪積土で10~14cm、火山灰土で15~23cmと記されてある。次層は作土の下に位置するが、具体的な数字は記されていなかった。結果からは、洪積土が最も多く蓄積銅が検出されたことがわかる。
上の図は、開園後の年数(横軸)と蓄積銅の量(縦軸)を示したものである。土壌の種類に関わらず、開園後の年数の経過に伴い、蓄積銅の検出量が増加していることが明らかである。また、作土における蓄積銅の増加は、年間ほぼ10 ppm 程度蓄積していくということが示唆された。
■kanitoneko の感想 現在、これらブドウ園では、報告で示された値よりもずっと多くの銅が土壌に蓄積しているに違いない。理由は2つ。
①「その2~その4」では、銅の検出量が最も高いのは、地表面(0cm)~10cm、あるいは0cm~20cm の深さであった。しかし、この論文の中では、最も銅が検出されるだろう部分よりも下のところ(作土)、を用いてデータを出しているので、地表面の銅の量はもっと大きい値を示すはずである。
②報告されたのが1981年であるから、当時と同じような頻度と濃度で銅剤が散布されていると仮定すると、現在まで約30年間分の銅が加算されているはずである。開園後の年数と蓄積銅の全量を調べた結果から、年間10 ppm増加すると記述があるので、300 ppm (10 ppm×30年)上乗せした値になっていても不思議ではない。
この2つの考えをもとにすると、例えば、洪積土では600 ppm+αぐらいの銅が地表面付近から蓄積銅として検出されるのではないかと推測できそうだ。
同報告書には、蓄積銅の話だけでなく、土壌の種類によって植物体に影響が出てくる銅濃度を調べるなど興味深い研究を行っているので、このあたりについてはまたあとで紹介しようと思う。
報告の内容とは関係ないけれど、この報告書にある図は文字を除いて、全て手で描いてある。1981年では「windows 95」も発売されていないのは当然なんだけど、いやはや昔の人はすごいなぁ、とつくづく思いしらされます。
参考文献:
(1)日向進(1981)「山梨県勝沼地方におけるブドウ園土壌の蓄積銅の実態について」日本土壌肥料学雑誌.52(4).347-355.
独り言:
しばらく忙しいので、ほとんど更新できません。]]>
ボルドー液 その4
http://kanitoneko.exblog.jp/8096186/
2009-03-23T12:58:14+09:00
2009-03-23T12:59:36+09:00
2009-03-23T12:59:36+09:00
kanitoneko
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ブドウ畑の土壌に蓄積する銅の量は、銅剤の使用頻度や気候などに左右される。また、乾燥した気候のブドウ畑と湿潤な気候のブドウ畑での銅の量を比較すると、後者の方に銅が多く蓄積していることが報告されている。
ブラジルのブドウ栽培の主要な地域である南部のRio Grande do Sul州は、湿潤亜熱帯気候である。比較的冷涼な冬がブドウ栽培に適しているが、年間降水量は2000 mm 以上であり、世界一湿潤なブドウ栽培地と呼ばれている。
降水量が多いと病害菌が繁殖しやすくなるため、必然的に銅剤の散布頻度も多くなってしまうのだが、このような気候にあるブドウ畑で、土壌中の銅の量はどのような値を示すのか調査を行った。調査地区は3ヵ所(FR、PZ、AR):それぞれ特徴的な異なる土壌特性を持つ地区であり、各地区には、経営年数の短いブドウ畑(若い畑)と長いもの(古い畑)がある。また、ブドウ畑付近の、銅剤の流入がない土壌の銅の量を各地区のバックグラウンドとした。
3つの地区はRio Grande do Sul州にあり、FR地区とPZ地区は内陸側に位置し、AR地区は潟湖(ラグーン)にある島である(下図参照)。 ■結果と考察
3地区のバックグラウンドの地表面付近(0-5 cm)における平均的な銅の量(mg/kg)は、FR地区は49.8、PZ地区は20.5 、AR地区は7.2 であった。3地区のブドウ畑で検出された地表面付近(0-5 cm)の銅の平均値を以下に示した。
地区名の後の数字は、畑の年数を示す。
単位は全てmg/kg。
FR5: 353.7
FR40: 1019.1
PZ61: 1838.2
PZ100: 2197.6
AR45: 536.5
AR-20: 50.1
全ての地区で、バックグラウンドに比べ、大量の銅がブドウ畑から検出された。PZ地区は特に高い値を示し、PZ100の畑で最も高い値を示したものでは、3215.6 mg/kgであった。AR-20は50年前にブドウ畑だったが、20年前に栽培を放棄してしまった土地となっている。20年前に放棄されたにもかかわらず、依然として、バックグランドよりも銅の検出量は高い。
湿潤亜熱帯気候では、①雨が多い→②病原菌が発生しやすい→③銅剤散布回数が増加する→④土壌中に蓄積する銅が増加する、という流れでこのように銅が大量に検出されるようになると筆者は述べている。
実際に、ブラジルのこの州での銅剤の散布量は、年間60kg/haであり、これは世界的にみても2~4倍多い散布量である。
続いて、左下の図に検出された銅の分布を示した。
縦軸は地表面からの深さ(cm)を横軸は検出された銅の量(mg/kg)を示す。
各地区で、横軸の値が異なることに注意。
全体的に3地区のブドウ畑から検出された銅の分布の特徴として、①地表面に近いほど銅が検出される。②古い畑ほど、バックグラウンドに近い値を示すのに、深さが必要となる、ことが示された。
しかしながら、AR地区の2つの畑の銅の分布は他の地区と大きく異なっていた。畑を深く耕すことで、地表面の銅は土壌深くまで移動してしまうことはこれまで報告されているものの、AR地区の2つの畑ではそのようなことは行われていないことから、AR地区にみられる銅の分布は土地の特性によるものではないかと推測している。つまり、①AR地区には銅が土壌深くへと移動するのを防ぐ役目をする粘土がほとんどないこと(AR地区は、地表面から深さ65 cmまでほとんど粘土がなく、砂とシルトだけで構成されている特徴を持つ)。さらに、②AR地区は酸性土壌(pH 3.6-4.1)であり(銅が活性化し移動性を持つ)、降水量も高い(雨水によって流出する)。こうしたことが原因で、地中深くまで銅が移動してしまったのではないかとしている。
銅が地中深くまで移動してしまうと、地下水に混入してしまう恐れがあるのだが、実際に、AR地区の地下水の銅の量を測定してみると、バックグラウンドでは、2.1μg/Lの銅が検出されたのに対し、ブドウ畑では、70.5μg/L(AR45)、11.6μg/L(AR-20)と高い値であり、地下水へ銅が混入していたことが示唆された。
最後に筆者らは、ブドウ畑の蓄積銅について、これまでの研究報告を引用し、年降水量とブドウ畑から検出された銅の最大値について相関関係があることを述べている。
下の表1は右から、国名・地域名、年降水量(mm/年)、ブドウ畑から検出された銅の量(最大値)(mg/kg)、参考文献、の順になっている。表1から、降水量が多い国・地域ほど、検出される銅の量が多いことがわかる。 ■結論
①検出された値で一番大きなものは 3200 mg/kgであり、これまで報告された中で、一番大きな値である。これは、湿潤気候であるがゆえに、銅剤使用頻度が高くなったためである。
②酸性土壌と多雨により、銅は地中深くへと移動しやすくなり、地下水を汚染してしまう。
以上のことから、湿潤亜熱帯気候での銅剤の使用は温暖気候に比べ、環境汚染の危険が高い、と筆者らは結論付けている。
■kanitoneko の感想
「ボルドー液 その3」で出てきたオーストラリアでの研究を模倣したケーススタディである。降水量と蓄積銅の関係を示した表1はなかなか興味深いのだが、表1のデータには、ブドウ畑の経営年数、銅剤散布頻度やその濃度、土壌の性質などのデータは加味されてはいないことに注意が必要。また、銅の量はそれぞれの報告の中で一番高い値を引用しているが、これが降水量と蓄積銅量の間に相関関係があるように見える原因になっているのかもしれない。それにしても、彼らの主張する「多雨=蓄積銅の増加」という傾向は一般的にいえることなのかどうか、今後の論文でも検証してみたい。
ところで、気象庁のデータによると、山梨県(旧)勝沼町の過去5年間(2004年~2008年)の平均年降水量は、1083.5 mm であり、長野県長野市では、986.4 mmである(2)。この値と表1とを見比べてみると、日本のブドウ畑においても土壌中の銅の検出量はかなり多いのではないか、ということが推察される。
そこで、次回は山梨県のブドウ畑に蓄積している銅に関する研究報告を見てみようではないか。「その5」につづく。
参考文献:
(1)Mirlean Nicolai et al.,(2007)Metal contamination of vineyard soils in wet subtropics (southern Brazil). Environmental Pollution 149.10-17.
(2)「気象庁 国土交通省」http://www.jma.go.jp/jma/index.html
独り言:
春休みが欲しい。]]>
ボルドー液 その3
http://kanitoneko.exblog.jp/8082101/
2009-03-19T17:35:44+09:00
2009-03-19T17:37:04+09:00
2009-03-19T17:37:04+09:00
kanitoneko
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土壌中の銅は、母岩由来のも存在するが、農作業で銅剤を使用するなど人為的な作業に由来するものもある。農作業で散布された銅はべと病菌等に対する殺菌の役目を終えると、落葉を介して、土壌へと移動する。
母岩由来とヒト由来の銅の割合はどれくらいなのか?また銅はどのような形態で土壌に存在しているのか?これらを明らかにすべく、Pietrzak と McPhailら(2004)はオーストラリアのビクトリア州で4つの地区14ヵ所のブドウ畑の土壌を対象に調査を行った。
【※このブログでは、便宜上4つの地区の中から、1つの地区だけのデータを載せました。】
土壌は、母岩から自然に形成されるので、母岩の種類が異なれば、土壌中の銅の量は異なってくる。そこで、人為的に銅の流入がない牧草地から銅を検出することで、それぞれの地区の母岩由来の銅の量(バックグラウンド)とした。
また、各地区に経営年数20-30年のブドウ畑(若い畑)と90年以上のもの(古い畑)があり、若い畑と古い畑での銅の挙動の違いも調べた。
上の図1は、4つの地区の1つである、Goulburn Valley の結果である。バックグラウンドに対して、2つの畑での銅の検出量は高いことがわかる。特に、若い畑の地表面付近の土から検出された量は顕著である。オーストラリアとニュージーランドでは、土壌中の銅の量は60mg/kg が水準限界値と定められていて、これ以上の値を示す土壌は検査の必要があるのだが、対象とした4つの地区での若い畑では、おうおうにしてこの水準を上回る量の銅が検出された。
筆者らは、ブドウ畑での銅の垂直分布だけでなく、検出された銅がどのような状態で土壌中に存在していたのかも調査した。土壌中の銅の状態は大きく3つに分類した。すなわち、①「活性のある状態」:水溶性や交換性の状態などにある銅で、動きやすく、植物体の養分になる一方で、過剰に存在すると毒性を示す。②「不活性の銅」:土壌中の鉄やアルミニウムと結合して比較的安定した状態の銅。そして、③「不安定な状態の銅」:炭素塩と結合した状態、あるいはマンガンを還元しやすい状態、有機物等と結合した状態などで、pH や酸化・還元反応など土壌の環境が変化することで、①の「活性のある状態」になりうるもの。
上の図2は、Goulburn Valleyのバックグラウンドで検出された銅の状態の割合を示した。縦軸が割合(%)、横軸は地表からの深さを表す。棒グラフの水色の部分が「不安定な状態にある銅」にあたる。
図1から、バックグランドからの銅の検出量はかなり少ないことがわかったが、さらに、図2からは、その検出された銅の70%以上が不活性の状態であることがわかる。このバックグラウンドの状態に対して、同じ地区の2つのブドウ畑(若い畑と古い畑)での銅の状態の割合を下に示した(図3)。
図3より、ブドウ畑から検出された銅は活性のある状態と不安定な状態のものが大部分を占めていることがわかる。また、若い畑と古い畑を比べると、古い畑の方が、地表から深いところまで、活性のある銅の割合が高くなっている。
図4はGlenrowan 地区の古い畑のデータである。銅の全体量は、0-1cm の深さで55.1mg/kg、15-20cmの深さで27.7 mg/kgである。この畑は10年前から銅剤の使用をやめた畑である。にもかかわらず、水準限界値(60mg/kg)に近い値が地表面から検出されており、さらに、検出された銅の約70-80% はいまだ活性のある状態となっている。
■結論
①土壌中の銅は、母岩より自然発生するが、人為的な影響によりその分布や量、状態に変化を与える。
②ビクトリア州のブドウ畑付近の牧草地(バックグラウンド)には銅はほとんど含まれておらず、70-90 %が不活性の状態で存在する。
③ビクトリア州のブドウ畑から検出された銅の量は、バックグラウンドと比べて5-50倍である。また、若い畑では深さ10-20cmで、古い畑では25cm以上で銅の濃度は低下する。
④人為的な影響に由来する銅の大部分(60%)は、活性があり、25%は有機物と結合している。また深くなるほど不活性のものが増える。砂質土壌では、銅の活性が低く(40%未満)、多くは有機物と結合している(約50%)※。
⑤活性のある銅が不活性となるには数年、あるいは十年単位の時間が必要であり、多くは活性のあるまま土壌に残留し、かなり長い間、別の場所へと流出してしまうおそれがある。
※別の地区のデータによる。
■kanitoneko の感想
土壌に関してはまったくの門外漢であるが、実験内容から結論まで、明快でまっすぐだった。省略せずに、全ての内容やグラフなどを提示したかったが、これ1つで話が2、3回に膨らんでしまうので、最後の結論がわかるような形で、やむなく図などを省略した。
今回の実験では、①バックグラウンドとの比較という点と②銅がどのような状態で土壌に存在しているかという点が「その2」の内容と比べて新しい知見となっている。この報告を見る限り、単に土壌中の銅を調べるだけでなく、それがどのような状態にあるのかを知る必要性もありそうだ。
さて、ブドウ畑では、銅がバックグラウンドよりも多く検出され、さらに活性のある状態のものが大部分を占める、ということだが、これらの銅はブドウ樹や土壌中の他の動植物にどういった影響を与えるのか?ってことが次に気になってくる。しかし、はやる気持ちを抑えて、まだまだ土壌への銅の蓄積についてみていきたい。「その4」につづく。
参考文献:
(1)Pietrzak U. and McPhail D.C.(2004)Copper accumulation, distribution and fractionation in vineyard soils of Victoria, Australia. Geoderma 122.151-166.
独り言
「動画」って入力しようとすると「銅が」って出てくるようになりました。]]>
フォクシー・フレイバーに対するネコの反応に関する研究
http://kanitoneko.exblog.jp/8071634/
2009-03-16T20:42:00+09:00
2009-03-16T20:51:59+09:00
2009-03-16T20:42:53+09:00
kanitoneko
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カニトネコ & グルコース
A Study of The Reaction to Foxy Flavor by Domestic Cats
authors: Kanitoneko and Glucose
【abstract】
Methyl anthranilate and furaneol are wine flavors, found particularly in Vitis labrusca and V. rotundifolia grapes and in their wines. These flavors are called "foxy flavor" and its chemical structures and properties have been well studied. However, there are few studies about mammals' reaction to foxy flavor. In this study, we examined domestic cats' reaction to two types of foxy flavor. Our results suggested that two domestic cats didn't show any interest in foxy flavors. Further detailed study would be required to understand reaction to foxy flavor by domestic cats as well as by other mammals.
Keywords; Foxy flavor, Methyl anthranilate, Furaneol, cat.
【1.緒言】
フォクシー・フレイバー(foxy flavor)は、Vitis labrusca や V. rotundifolia などのアメリカ原産のブドウ果実、およびそれを原料としたワインに含まれる特殊な香りである(1,2)。フォクシー・フレイバーと称される物質の化学的構造や種類については、これまで明らかにされているものの(1,2)、それらの香りがネコ(Felis silvestris catus, L.)に対して、どのような反応を引き起こすかについては、明らかにされていない。そこで本研究では代表的なフォクシー・フレイバーとして知られるアントラニル酸メチル、フラネオール、の2種類の香りを用いて、フォクシー・フレイバーに対するネコの反応を調査した。
【2.材料および方法】
■2-1 香り
フォクシーフレイバーの香りとして、アントラニル酸メチル、フラネオールを供試した。また、ちょうど手元にあったβ‐ダマセノンもついでに供試した。3種類の香りは、標準物質を希釈し、ヒトが嗅いだ時にそれとわかる濃度に調整した。
ネコの反応がみられないだろう水をネガティブ・コントロール(NC)として、反応がみられるだろう、またたび(Actinidia polygama)をポジティブ・コントロール(PC)として供試した。水は蒸留水を使用し、またたびはホームセンターで購入したまたたび粉末を蒸留水に適当量いれたものを使用した。
■2-2 被験猫
被験猫として2匹のメス猫を対象とした(3齢と9齢)。5種類の香りの試料を別々に入れたチューブをネコに嗅がせた時の様子をモニターした。水(NC)に対する反応を(-)、またたび(PC)に対する反応を(+)とし、これらを基準にして、3種類の香りに対する反応を調査した。実験はネコの機嫌をみながらそれぞれ2反復行った。
【3.結果】
【4.考察】
供試した2種類のフォクシー・フレイバーそれぞれに対して、ネコの閾値は明らかにされていないため、本研究では、ヒトを基準に試料の濃度を調整した。PCとして使用したまたたび以外の香りに対してネコの反応はいまいちであったのだが、その理由の一つとして、試料の濃度が適切でなかったことが考えられる。ヒトよりネコの方が鼻がきくことを考慮して、試料の濃度をうすくするべきであったのかもしれない。
被験猫としては、比較的若いもの(3齢)とそうでないもの(9齢)を対象にしたが、年齢による差は見られなかった。ヒトの場合、性別によって特定の香りに対して嗅覚の鋭さが異なることがあるので(一般的に女性の方が柑橘系の香りを強く感じるなど)、オスネコを対象にした場合、異なる結果が得られたかもしれない。
実験結果からは、ネコは供試した2種類のフォクシー・フレイバーおよびβ-ダマセノンに対して無反応であることが示された。しかしながら、実験条件がいい加減なため、断定することはできない。
今後の課題としては、①実験条件を検討すること、②被験猫の数を増やすこと、③オスネコも対象にすること、などが挙げられる。さらに、イヌやハムスターなどその他の小動物を対象にすることで、ヒト以外のほ乳類がフォクシー・フレイバーをどのように感じているのか、という興味深い知見が得られるものと考える。
この研究の発展として、①ネコにワインの主要フレイバーを嗅がせてみる、②ネコにワインのオフ・フレイバーを嗅がせてみる、などが挙げられが、こちらも今後検討していきたい。
【5.謝辞】
香りの試料作成の際、H博士に協力してもらった。ほんとすんません。また、被験猫であるネコ2匹にも感謝する。
【6.参考文献】
(1)Ribereau-Gayon, P. et al.,(2006)Handbook of Enology: The Chemistry of Wine, vol.2. John Wiley & Sons Inc.
(2)Margalit Y.,(2004)Concepts in Wine Chemistry. Wine Appreciation Guild.
独り言
思いつきでやったため、結果がいまいちでした。
英語は適当なので、つっこまないように。]]>
フラネオール:イチゴの香り
http://kanitoneko.exblog.jp/8059558/
2009-03-13T11:40:27+09:00
2009-03-13T11:41:43+09:00
2009-03-13T11:41:43+09:00
kanitoneko
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ちょっとしたわけがあって、最近、イチゴを材料にして実験をしています。スーパーで買ってきたイチゴを乳鉢の中でひたすらすり潰していくのだけれど、その間、イチゴの香りがすごいのなんのって。そこで、今回はイチゴの香りについてです。
イチゴの香りのうち、最も種類が豊富なのはエステル化合物である(1,2)。有機酸と微量に存在するアルコール類から合成されるのだが、100種類以上あることが知られている(1,2)。イチゴの品種を問わず、主要なエステルとしては、酪酸エチル、酪酸メチル、エチルヘキサン酸、酢酸ヘキシル、などがある(2)。
酪酸エチルはリンゴ臭、酪酸メチルはパイナップル臭、など単体でそれぞれ特徴的な香りは決まっているものの(3)、一つ一つがはっきり認識されるのではなくて、複数のものが微量に混ざって香る、といった感じ。
こうしたエステルの合成に関与する酵素については明らかになってきているのだが、合成経路については未解明な部分が多く残されている(2)。
一方で、微量にしか存在しないにも関わらず、イチゴの香りの代名詞ともなっているのは、フラネオール(2,5-dimethyl-4-hydroxy-2H-furan-3-one (DMHF))である(1,2)。この香りの閾値はとても低く、水1kg の中に、0.00004 mg、あるいは、0.00001-0.000005 mg 入っているだけでも香るそうだ(1,4)。
「イチゴらしい香り」の主役はこのフラネオールであるといっても過言ではない。
ところで、このフラネオール、ブドウにも存在していることが知られている。「Handbook of Enology:The Chemistry of Wine」によれば、Vitis labrusca や V. rotundifolia には、アントラニル酸メチルをはじめとしたフォクシー・フレイバーが含まれているのだが、フラネオールもまたアメリカ原産のブドウに多く含まれることからフォクシー・フレイバーとしてみなされている(5)。下の図は、主要なフォクシー・フレイバーとしてみなされている化合物であり、この中にフラネオールが入っている(5)。
「Concepts in Wine Chemistry」によると、V. vinifera で作った白ワインからはフラネオールは検出されず(検出装置の限界以下)、反対に、アメリカ品種との交配品種(ハイブリッド)で作った赤ワインではすべからくこのフラネオールが検出されるそうだ(4)。
日本で栽培されているハイブリッド品種としては、マスカット・ベリー・A(MBA)が有名であるが、おそらく、MBAのあの甘い香りにはこのフラネオールの香りが少なからず関与しているものと思われる。
上の図で挙げたフォクシー・フレイバーは、ラブラスカなどにしか存在しないわけではなく、 V. vinifera にも微量に含まれているそうだ(5)。また、ブルゴーニュのピノ・ノワール種にもフォクシー・フレイバーであるアントラニル酸メチルやアントラニル酸エチルが含まれており、香りの複雑さに寄与しているともいわれている(4)。
フォクシー・フレイバーであるかどうかは微妙なラインであるが、アメリカ原産のブドウ品種に多く含まれているものとして(4)、ダマセノンがある。これは、焼きりんごやアップルパイの香りがして、個人的には好ましく思える香りである。
ヨーロッパ人の中には、このフォクシー・フレイバーがワインの中で香ると嫌がることもあるのだが、食文化や個人的な趣向の違いによるものだろうから仕方ない。日本人はといえば、飴やガム、グミ、ゼリーでこのフォクシー・フレイバーに触れる機会が多かったり、昔からデラウェアや巨峰を食してきたり、ラブラスカであるコンコード種を主体にしたブドウジュースに慣れ親しんできているので、それほどフォクシー・フレイバーに抵抗はないのではないだろうか。まぁ、これがワインの中に入っていると、話は別、となるかもしれないが。
参考文献:
(1)Zabetakis I. and Holden M.A. (1997)Strawberry Flavour: Analysis and Biosynthesis. Journal of the Science of Food and Agriculture. 74, 421-434.
(2)Bood K.G. and Zabetakis I.(2002)The Biosynthesis of Strawberry Flavor (II): Biosynthetic and Molecular Biology Studies. Journal of Food Science. 67,1. 2-8.
(3)wikipedia「エステル」
(4)Margalit Y.,(2004)Concepts in Wine Chemistry. Wine Appreciation Guild.
(5)Ribereau-Gayon, P. et al.,(2006)Handbook of Enology: The Chemistry of Wine, vol.2. John Wiley & Sons Inc.
独り言:
そろそろ、ブドウの季節到来です。4月~9月ごろまで、忙しくてあまり更新できなくなるので、今のうちに更新しておきます。]]>
Jura
http://kanitoneko.exblog.jp/8048734/
2009-03-10T11:35:00+09:00
2009-03-10T11:49:14+09:00
2009-03-10T11:36:47+09:00
kanitoneko
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Vin de Paille や Vin Jaune 飲んだことあります?
日本では珍しくなかなか飲む機会がないかもしれません。これらは、フランスのジュラ県(Jura)のワインです。
他にも Arbois や L'étoile などのアペラションがあることで知られていますが、ジュラのワインボトルの形はちょっと変わっていて、エチケット上部には「JURA」と書かれてあります(左図)。
ところで、初めて「ジュラ(Jura)」と聞いたとき、あるいはこの文字を目にした時、なにか聞き覚えのある単語が頭に思い浮かばなかっただろうか?
僕はといえば、「ジュラシック・パーク」がすぐに思い浮かんだ。スティーブン・スピルバーグ監督のあの映画だ。ゲームウォッチやファミコン世代であったために、あの映画のCGの恐竜をはじめて見た時は、それはそれは驚き、感動した。当時、3回も映画館でこの映画を観たほどだ。
話をJuraに戻そう。実は、あの「ジュラシック・パーク」のジュラも、そして中生代ジュラ紀のジュラも、フランスのジュラ県のジュラも言葉の起源は一緒である。ジュラ山脈からその名が来ている(1)。
ジュラ山脈がある場所は、かつて暖かくて浅い海が広がっていてサンゴなども生息していたそうだ。そして、アルプス山脈が隆起した時のしわ寄せがジュラ山脈を生み出す結果になった(1)。
地質学者がこの場所を調査したら、太古の海に棲む生き物の化石を大量に発見、この地質時代をジュラ山脈からとってジュラ紀と名付けた。今となっては、ジュラシックといえば、「ジュラ紀の」とか「恐竜時代のような」などの形容詞になっている。
ジュラ県に関していえば、かのルイ・パスツールの生家があることでも有名だ。フランスにいた頃は、ちょっとした理由があって、ジュラのドール(Dole)という街にほぼ毎週通っていたのだが、そのドールの街にパスツールの生家がある。
現在では、かつての研究ぶりが垣間見られるような展示が行われていて、入場は無料。私も一度、訪れたことがあったが、訪れた当時は、ブドウやワインの研究は頭になかったので、詳細はほとんど記憶にないが、石畳の裏路地のアンティークな雰囲気があるところにあって、生家の裏側には、人工的に作った小さな運河が流れているっていう立地場所は今でも覚えてる。詳しくは、(2)を参照にしてください。
もうひとつ言うと、ボルドー液を発明した Alexis Millardet 博士の故郷もジュラ県である。そう考えると、現代のブドウ・ワイン産業に多大な貢献を与えた人物を輩出している県であると言える(3)。
ちなみに、スイスにはジュラ州があるそうだ(4)。
参考文献
(1)fr.wikipedia「Massif du Jura」
(2)パスツール博物館(musée Pasteur):http://www.musee-pasteur.com/
(3)fr.wikipedia「Alexis Millardet」
(4)wikipedia「ジュラ州」
独り言
こういうのが小ネタっぽくて好きなのだが。]]>
ボルドー液 その2
http://kanitoneko.exblog.jp/8030143/
2009-03-05T12:31:00+09:00
2009-03-05T12:32:38+09:00
2009-03-05T12:32:15+09:00
kanitoneko
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土壌中に銅が過度に存在すると、植物の成長に影響を及ぼす。その程度は、土壌のpH や有機物の量、土性、炭素、リン、土壌微生物といった多くの要因が関与している。また、銅などの微量要素は土壌深くでは量が少なくなっていくことを考慮すると、植物体の根の土壌中での分布も銅に対する影響に関与することになる。
そこで、ポルトガルのMagalhãesらは、長年、ブドウべと病対策に銅剤を使用し続けてきた2つのブドウ畑において、①土壌中の銅とブドウ樹の根の垂直分布を調査した。2つのブドウ畑のうち一つは1.23ha の平地(A)であり、もう一方は丘陵の斜面の0.12ha の畑である(B)。さらに筆者らは、A、Bの畑において②1年間に8回銅剤を散布したブドウ樹の葉身と葉柄、ブドウ果汁中での銅の量、および他の微量要素の含有量についても調査を行った。
■①銅と根の垂直分布
●平地(A)の畑(1.23 ha)について
(A)では、ブドウ樹の根は深さ5-135 cm ほどに分布しており、最も密度の高い部分は、20-100 cm ほどであった。
土壌深くに進むにつれ、粘土の割合が多くなり、砂の割合が少なくなるなど土性は変化していくものの、土壌中のアルミニウムや鉄、カルシウム、カリウム、ナトリウム、マンガンといった微量要素の量は土壌の深さとは関係がなかった。
一方で、銅は地表面に近いほど多く存在しており、深さ0-20 cm のところに最も銅が存在していた:0-20cm の深さで130.2 ppm、100-135cm の深さで23.4 ppm。検出された銅から、畑全体の銅を算出すると、約1067kgであったのだが、これは、43年間にわたり銅剤を1年間に7回散布していたことから計上した銅のブドウ畑への流入量とほぼ同じ値を示した。
●丘陵(B)の畑(0.12 ha)について
(B)では、ブドウ樹の根は深さ15-115 cm ほどに分布しており、根の密度が最も高いのは30~90cm の深さであった。
(B)の畑では、深さ1m以降、異なる地質が偏在していために、土壌の深さと微量要素の量の関係について詳しい考察はできなかった。しかし、(A)の畑と同様に、銅は地表面に近いほど多く検出された:0-25cm の深さで、58.4 ppm、100cmより深いところで、40.35 ppm。
21年間におよび、ブドウ畑に散布してきた銅の流入量は12.5kgと計算され、一方で、深さ50cm までの銅の推定量は8kgであった。このことからも、銅は深さ 0-25/30cm 付近に多く残留していることがうかがえる。
A・Bの両畑において、銅は、他の微量物質とは異なり、地表面に最も多く存在することがわかった。また、検出量から推定される畑全体の銅の量とこれまで散布してきた銅剤に含まれる銅の量(流入量)は、計算上ほぼ一致していた。つまり、検出された銅の大部分は銅剤由来であることが示唆される。
■②葉と果汁中の銅の量
・平地(A)の畑(品種:アリカンテ・ブランコ)
1年間に8回銅剤を散布したブドウ樹の葉身と葉柄および果汁中の銅の量を測定した結果、葉身では銅は1490 ppm、葉柄では56ppmであり、銅を散布しなかった区画ではそれぞれ520 ppm、21ppmであった。葉身、葉柄ともに銅剤散布区と非散布区とで、窒素やリン、カリウム、カルシウム、マグネシウムといった他の微量要素の検出量には差はなかった。
果汁中には、0.25-0.50ppm 銅が検出された。
・丘陵(B)の畑(品種:ティンタ・ミウダ)
銅は葉身には260ppm、葉柄には45ppmあり、銅剤を散布していない区画では、それぞれ130ppm、26ppmであった。上記同様に、微量要素の検出量には差は見られなかった。
果汁中では、0.38 ppm 検出された。
Gärtel(1959)は健全なブドウの葉身には銅は17-34ppm、葉柄には、6.5-11.5ppm ほど検出されると報告しているが、この報告に比べると今回、検出された値は異常なまでに高い。これに対して、筆者らは、銅は葉の内部に入っていくので値が高くなってしまうのではないかと推測している。また、銅剤を散布しなかった区画においても銅の検出量が多かったことに対しては、ポルトガルの気候では、Gärtelの報告(ドイツ)に比べ、銅に対する許容量は高いのでは、と述べている。
一方で、果汁中の銅の量は、これまでに多くの国で報告されている量(0.285-63.34 ppm)に比べるとかなり少なかった。
■結論
(a)銅の毒性は土壌のpH が低い(pH 5.0以下)と強くなるのだが、A・Bの畑では土壌のpH が8.0 前後であったこと。(b)ブドウ樹は一般的に銅耐性であること。(c)ブドウ樹の根が高密度に存在する深さと銅濃度の高い深さは同じではないこと。(d)葉身や葉柄で銅濃度は高かったにもかかわらず、銅による障害は観察されなかったこと(e)A・Bの畑でのブドウの生産量には異常がみられないこと、から今回検出された銅の量はブドウ樹に悪影響を及ぼさない、と結論付けている。
■kanitoneko の感想
Magalhãesらの研究は土壌中の銅とブドウ樹の根の分布を調べただけである。この2つの分布が異なるということを、これまでの観察からくる経験的な結果と結び付けるだけで、目に見えない水面下での銅の挙動について詳細な実験は行っていない。いないにも関わらず、検出された銅(たとえそれが少ない量だとしても)による影響はない、と結論付けるのは時期尚早であるように思える。
しかしながら、これ以降、Magalhãesらの研究内容を土台として、そこに少しずつ新しい知見が積み重なっていくかたちで、「ブドウ畑での銅の蓄積」に関する研究が盛んになり、また研究内容も多岐にわたるようになってくる。比較的、近年の研究においても彼らの研究は参考文献として引用されることが多いため、今回紹介してみた。
次回も同様に、ブドウ畑の銅の蓄積に関するものである。もちろん、新しい見解が加わった研究報告である。「その3」につづく。
参考文献:
(1)Magalhães M.J. et al., (1985)Copper and zinc in vineyards of central Portugal. Water, Air, and Soil Pollution.(26);1-17.
独り言:
あ。すでに雇われているのが傭兵なのか!]]>
ボルドー液 その2の前に
http://kanitoneko.exblog.jp/8006147/
2009-02-27T11:19:29+09:00
2009-02-27T11:20:38+09:00
2009-02-27T11:20:38+09:00
kanitoneko
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①前々から、「ボルドー液 その2」というキーワードで、ブログ内検索している訪問者の方がちらほらいること。
②去年1年間の(自分)統計で、google などでこのブログに来た人の検索キーワード第二位が「ボルドー液(13.5%)」であったこと。ちなみに、第一位はぶっちぎりで「カイガラムシ(37.8%)」、第三位は「リーフロール(9.4%)」でした。
しかし、実際にgoogleで「カイガラムシ」の画像とWEBを検索しても自分のブログがなかなか出てこないことを考えると、かなりディープな領域であったのかもしれない。
③スポンサーサイトであるヴァンクゥール
のお客さんから、「ボルドー液の続きを書いておくれ。」と要望があったから。こりゃ、断れんでしょ。
④研究室の後輩に「ボルドー液 その2はないんですか?」って2人に聞かれたから。
⑤「(有機)と(ビオ)」シリーズを通して気づいたことによる:ボルドー液は、栽培方法を問わず、散布することができることを考えると---しかもブドウ畑に限ったことではない!---世界中のさまざまな畑にすごい勢いで、銅が蓄積しているのでは!?という問題意識が湧きあがり、この話題の重要性を再認識したから。
ということで、シリーズ再開。いろいろ論文読んでますが、読めば読むほど、「ボルドー液」のキーワードだけで、かんなり幅広い研究があることに驚いた。どこから攻めようか検討中。とりあえず、今のところ気になっているのが、イギリスのある学者のこの一言:
「有機栽培で硫酸銅(CuSO4)を使用するのは馬鹿げている。硫酸銅は毒性があり、なおかつ、有機的なものでもなんでもないからだ。…以下省略…。」(1)
まずは、この文の真相に近づくことを目標にしよう。
参考文献:
(1)Dixon B.,(2004)Pushing Bordeaux Mixture, The LANCET, http://infection.thelancet.com]]>
フォクシー・フレイバー(孤臭)の語源 (補足)
http://kanitoneko.exblog.jp/7978773/
2009-02-20T18:27:00+09:00
2009-02-21T16:32:04+09:00
2009-02-20T18:28:33+09:00
kanitoneko
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「A History of Wine in America」によれば、Fox Grapeと呼ばれていたブドウは、ラブラスカ(Vitis labrusca)だけでなく、かつては、アメリカ原産種であるV. rotundifolia, V. riparia, V. cordifolia などもFox Grapeと呼ばれていたそうだ(1)。
また、地域によっても違いがあって、アメリカ北部では、Fox Grapeといえば、V. labruscaを言っていたが、南部では、muscadine (V. rotundifolia) のことを指したそうだ(1)。
muscadine (Vitis rotundifolia) (和名:?) は、アメリカ南部で栽培されていて、甘口ワインやゼリー、シロップなどの原料に使用されている(2)。ブドウとおなじVitis 属ではあるが、V. vinifera では染色体数が2n=38であるのに対して、muscadine は、2n=40となっているので、一般的には交配不可能である(2、3)。そのため、muscadineを、Muscadinia 亜属と、あえて分ける人もいる(2、3)。
また、Vitis labrusca とVitis rotundifolia に対しては、前者をNorthern Fox-Grape、後者をSouthern Fox-Grape として区別する一般名もある(4,5)。
上の図は、アメリカ西部のナンタケット島(Nantucket)の野生植物の記録(1921年)に関する本の抜粋である(5)。これをみると、Vitis labrusca, L. と学名があり、northern fox-grape と名付けられていることがわかる。
Vitis labrusca の後ろの"L."とは、この学名をつけたスウェーデンの学者、カール・フォン・リンネ(1707-1778)のリンネ(Linné)の頭文字(6)。リンネは、1753年に、fox grapeを Vitis labrusca と名付けた(7)。vitis はラテン語でブドウを、labrusca は古ラテン語で、「野生のブドウ樹(つる植物)」を意味する(8,9)。
と、いうことで補足でした。
フォクシーフレイバーの語源にまつわる話は、もう自分の中では完結したので、再度この話題に触れることはないんじゃないかなぁと思います。それでも、フォクシーフレイバーの香るワインを傾けながら、語源の話に熱くなるのもまたロマンスでしょう。
参考文献:
(1)Pinney T. (1989)「A History of Wine in America」http://www.escholarship.org/editions/ ←電子図書で閲覧可
(2)en.wikipedia「muscadine」
(3)Huglin P & Schneider C (1998)Biologie et écologie de la vigne, 2°Ed. Lavoisier.Tec & Doc.
(4)http://www.crfg.org/ pubs/ff/muscadinegrape.html
(5)Albertson A.O.(1921)「Nantucket Wild Flowers」
http://www.archive.org/index.php ←電子図書で閲覧可
(6)wikipedia「カール・フォン・リンネ」
(7)fr.wikipedia「Vitis labrusca」
(8)Oktay S.D. 「Native Divine Vine: Nantucket's Fox Grape」Yestderday's Island: www.yesterdaysisland.com/2008/features/foxgrape.php
(9)http://wisplants.uwsp.edu /scripts/detail.asp?SpCode=VITLAB
独り言
マンガは「Comic Studio Mini ver.4.0」で描いてます。
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