元山梨大学大学院教授である山川祥秀氏が「山ブドウ(
Vitis coignitae:♀)」と「カベルネ・ソービニヨン(
Vitis vinifera:♂)」を交配して作った品種に「ヤマ・ソービニオン」がある。この交配品種は交配、選抜そして品種登録まで実に13年間もの長い期間をかけて育成したものである。病気にも強く、日本の気候にも合うとのことで、この交配品種を用いた赤ワインは山梨県や長野県で製造、販売されている。ワインの味や質はここでは問題にしないが、個人的にはこの交配品種の名前に注目してみた。
まず、カベルネ・ソービニヨンであるのに対して、ヤマ・ソービニオンである。といって、お気づきだろうか?後者はソービニ
ヨンではなく、ソービニ
オンであるのだ。このことはブドウの品種登録第2457号でも、そう書いてあるので、間違いない。ヤマ・ソービニオンのアルファベット表記を見てみると Yama sauvignon となっているので、ケアレスミスのような気がしてならない。それとも、山川氏特有の発音なのか?そこに何か意図があったのかどうかは定かではない。
次に、カベルネ・ソー
ヴィニヨンといったほうがいいのか、はたまたカベルネ・ソー
ビニヨンといったほうががいいのかについては、昨今の翻訳事情ではなるべく、「ヴ」などの表記は避けるということなので、カベルネ・ソービニヨンと表記したほうが無難だそうだ。個人的には、カベルネ・ソーヴィニョンと表記したいのだが。
外来語をカタカナ表記にすること自体に無理が生じるのはやむをえないのだが、ブドウ栽培の歴史の中で、ちょっとした名前の違いで大きな勘違いを生み出してしまったことは多々ある。具体的な例はまたの機会にでも話すとして、こういったことはできるだけ起こらないようにしなくてはならないのだが、面白いことに、というか残念なことに、google のweb 検索で調べてみたら(右表)、時すでに遅しであった。。。
ヤマ・ソービニオンのワインを飲む機会自体、きわめて稀であるかもしれないが、飲むような機会があったら、話の種にでもしてみてはいかがだろうか?
参考文献:山川祥秀,「ワイン博士のブドウ・ワイン学入門」, 創森社